はじめに
「履歴書が苦手です」 その気持ち、めちゃくちゃわかります。 正直、私も大学生のとき、履歴書が大の苦手でした。「文章がうまく書けない」「字が汚い」「何を書けばいいかわからない」――書き始めるまでに、3日くらい眺めてたこともあります。
でも、今は人事として何千枚もの履歴書を読んできた立場から、はっきり言えます。履歴書で大切なのは、“うまく書く”ことじゃない。“伝えること”です。
①「履歴書」とは、“あなたの声”を紙に落としたもの
履歴書というと、住所・学歴・趣味・志望動機……といった「事実を書く紙」のように思えますよね。でも、採用担当が読んでいるのは“文字”だけではありません。
✅「この人、どんな気持ちでこの言葉を書いたんだろう?」 ✅「この学生とは、どんな会話ができるだろう?」
そんな風に、“雰囲気”ごと読み取ろうとしているんです。
たとえば――
- 志望動機に具体的なエピソードがある →考え抜かれた言葉だな、誠実そう
- 字が丁寧で、読みやすさが意識されている →相手のことを思いやれるタイプかも
- 空欄が目立つ、あまりに汎用的な文章 →熱意や本気度はあまり感じないかも…
履歴書は“提出書類”ではありますが、中身としては**「自分を紹介するプレゼン資料」**。しかも、最初に見られる“名刺”でもあるんです。
② 各項目の書き方のコツ(+テンプレ文例)
ではここからは、履歴書の中でも特に重要な項目について、以下の3つをセットで解説します。
✅ 書くときに意識すべき視点 ✅ よくあるNGと改善ポイント ✅ そのまま使えるテンプレ例
志望動機:「だから御社で働きたい」まで届ける
💡書き方のポイント:
- 「なぜこの会社なのか」を、自分の過去の経験と紐づける
- 「どこでも通じる言葉」になっていないかをチェック
- 「この会社に入って、何がしたいか(未来)」を語れているか
😅 よくあるNG:
- 「社風に惹かれました」「御社の理念に共感しました」だけで終わっている…
✅ テンプレ文例:
- 「高校野球で“縁の下の力持ち”のような役割にやりがいを感じてきました。御社が“誰かを支えることを評価する”文化を大切にしている点に惹かれ、自分の経験を活かしたいと感じています。」
- 「野球部で『自分のためではなく、チームの勝利を』という意識で行動するようになった経験から、人の成功を支える仕事に魅力を感じました。御社の◯◯という考え方に強く共感し、志望いたしました。」
- 「怪我でプレーができなかった期間、自分にできる役割を必死に探したことがあります。その経験から、状況に応じて柔軟に行動できる自分の強みを活かし、御社のチームの一員として貢献したいと考えています。」
自己PR:「自分にできること」を一言で伝えよう
💡書き方のポイント:
- 自分の強み=“誰かにとっての価値”であることが大切
- 「がんばりました」だけでなく、“行動+工夫”のセットで語る
- 「だからこそ、御社でどう活かせるか」までつなげる
😅 よくあるNG:
- 「明るく元気にがんばります!」 →抽象的すぎて伝わらない
✅ テンプレ文例:
- 「チームが停滞しているとき、自分から“声の雰囲気”を変えるよう意識して行動してきました。雰囲気をつくる意識や、小さな変化に気づく視点は、どの職場でも役立てられると考えています。」
- 「裏方で支えてきた経験から、“目立たない部分にも意味がある”と実感しています。役割にこだわらずチームに貢献する姿勢は、自分の強みです。」
- 「副キャプテンとして、チームの中心というより“全体の調整役”のような立場にやりがいを感じていました。社会に出ても、周囲とのバランスを見ながら力を発揮できると考えています。」
特技・趣味:「その人らしさ」が垣間見える場所に
💡書き方のポイント:
- 専門性じゃなくてOK!「続けている」「こだわってる」などが伝われば◎
- 野球以外の一面を少し加えると、人となりのイメージUP
✅ テンプレ文例: ✍️ 特技のテンプレ文例(5選)
- 声の使い分け 野球部での応援や声かけを通して、「励ます声」「落ち着かせる声」「盛り上げる声」を使い分ける意識が身につきました。
- 早起き力 学生時代、毎朝5時起きで朝練に通っていたおかげで、今でも早朝に強く、集中力の高い時間を活かして行動できます。
- 空気を読む力 部活動では“今は話しかけるべきか/黙って見守るべきか”を常に意識していたため、場面に応じた対応力が鍛えられました。
- 準備と段取り 遠征や大会の準備を任された経験から、「何が足りないか」「いつ何をやるべきか」を逆算して動く習慣がついています。
- 応援のプロ レギュラーでなくても、チームの雰囲気を盛り上げ、仲間の背中を押す役割にやりがいを感じていた経験があります。
🎈 趣味のテンプレ文例(5選)
- グラウンド整備 練習終わりのグラウンド整備が好きでした。均す時間が、自分と向き合う“無音の整理タイム”になっていました。
- 筋トレ記録管理 部活を引退してからも、Googleスプレッドシートで筋トレ内容を記録しています。“昨日の自分”に勝つ習慣がついています。
- 野球マンガの名言収集 『MAJOR』『ダイヤのA』『ROOKIES』などから“心に刺さったセリフ”をノートに書きため、今でも読み返して元気をもらっています。
- チームの写真アルバムづくり マネージャーではありませんが、仲間の一瞬を残すことが好きで、写真をまとめるのが個人的な趣味でした。
- 銭湯&サウナ巡り 練習終わりの銭湯で“ととのう時間”が楽しみでした。チームメイトと語り合った時間も、今では大切な思い出です。
「履歴書の書き方」と聞くと、つい“正解”を探しがちですが、大切なのは“自分の言葉”で書けているかどうかです。
野球で培ってきた経験も、工夫も、悩みも、ぜんぶ自分らしさの一部。
後編では、採用担当が実は見ている“3つの細部”や、“よくあるNG例と改善ポイント”について、お伝えします。
「書いたつもりが、伝わってなかった」――そんな事態を防ぐための視点を、ぜひ覗いてみてください⚾
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