①「完璧な自己PR」より刺さるものがある
これまで人事として、面接の数で言えば数え切れないほどの学生と向き合ってきました。その中で、正直に言うと「自己PRが完璧だから採る」ということは、あまりありません。
むしろ、「この子、なんかいいな」「一緒に働きたいな」と感じた瞬間って、もっと人間らしいところだったりします。今日は、そんな“採りたくなる瞬間”を、いくつかお話しさせてください。
②想いが、言葉に滲んでいたとき
テンプレのような志望動機ではなく、「なぜこの会社に入りたいのか」「どこに惹かれたのか」を、自分の体験から語っていた学生がいました。その子の言葉はたどたどしかったけど、目の奥にある熱や、指先に現れる緊張感の中に、本気の気持ちが感じられたんです。
私はその瞬間、「一緒に働いてみたい」と思いました。
③弱さを、隠そうとしなかったとき
「アルバイトも部活も中途半端で…」と語り始めた学生がいました。ふつうならマイナスに映るかもしれません。でも、その後にこう続けたんです。
「でも、そこから自分を変えたいと思って、初めて“やり切る”ということに挑戦しました」
その一言に、僕はその子の“伸びしろ”を見ました。完璧な実績より、自分を変えようとする意志の強さ。それが見える人に、惹かれます。
④相手の話をちゃんと聞く姿勢があったとき
ある体育会系の学生がいて、第一印象は「元気が良くてよくしゃべるタイプ」でした。面接も、自分の経験を熱っぽく語ってくれて、野球部で副キャプテンをやっていたこと、挫折と向き合ったこと、素直に伝えてくれました。
でも、私が1つだけ突っ込んだ質問をしたんです。「それって、本当に自分が選んだ挑戦だったと思う?」と。
一瞬、彼は黙りました。そして、「あ…たしかに、指導者に言われて“やらされた”部分があったかもしれません」と答えてから、もう一度、自分の言葉で語り直してくれたんです。
その数十秒のやりとりに、彼の「聞く力」と「内省できる力」がにじみ出ていました。どれだけ話が上手でも、“相手の問いにどう応えるか”が見える瞬間って、すごく貴重なんです。社会に出れば、対話の中で気づきを得たり、変化したりする場面の連続ですから。
一方通行じゃなく、“キャッチボール”ができる子は、絶対に伸びる。そう確信した面接でした。
⑤人は、人で決める
結局のところ、面接って「書類の正しさ比べ」でも「言葉のうまさ比べ」でもありません。“この子と働きたい”と思えるかどうか。
その判断軸にあるのは、
- 相手を思いやる姿勢
- 不器用でも、自分の言葉で伝えようとする意思
- “完璧じゃない自分”を受け入れて、前に進む力
こういうものが、言葉の奥からじわじわと伝わってくると、「とりたい」って気持ちになるんです。
⑥就活=演技ではなく、対話
「何を言えば正解か」ではなく、「自分は何を大事にしてきたか」を、まっすぐに届けること。それが、あなたの“本当の強み”として伝わっていくはずです。
難しいことではありません。その気持ちは、グラウンドで仲間に届けてきたはず。あのときの声と目線を、そのまま面接に持ってきてください。人事は、ちゃんと“あなた”を見ています。
⑦最後に
もっと書きたいことは山ほどありますが一旦、この辺りでやめておきます。ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
コメント